こんにちは。
安藤はま子です。
「親のことで悩んでいる」とは、皆さんあまり口にしませんが、親との関係性で悩んでいる方は結構多いのではないでしょうか。
私のところに相談に見える方々も、親子関係で相談したいという方は少なく、他のことで相談に見えます。ところが、よく話を聞いてみると親とかなりうまくいっていない方が多いのです。
親との関係が上手くいっていない方は、長い間葛藤が続いているのでこんなふうに考えがちです。
「親との問題を解決するのは無理だ。もう疲れた、あきらめよう。あんな親なんて、いないと思えばいいんだ」
こう考えても、あんな親はいなくなるわけではなく、辛い思いも解消できないまま持ち続けることになります。そして親との関係性が他の悩みとしてあらわれます。
70、80歳になっても親との関係が悪い方もいます。
親が亡くなってしまい、仲良くなる機会を失ってしまう方もいます。
もちろん、親がいなくても解決することはできますが、やはり、親と会えるうちに関係を改善したいですよね。
はたして修復不可能にみえる親子関係に解決策はあるのでしょうか?
はい、あります。
何十年も抱えてきた悩みでも、解決できる方が多いのです。
私のところに相談にみえる方々も、最初は重苦しい空気を背負っておいでになります。
ですが、相談が進むにしたがって笑顔になり、最終的には親への見方が変わり、関係が良くなっていきます。
ここでは、カウンセリングとは少し違いますが、親との関係修復に役立つ下記のような内容の記事を書きました。参考にしていただければ幸いです。
親との関係を修復するメリット
親との仲を修復することはメリット、デメリット両方ありますが、先ずはメリットについて説明していきたいと思います。
(1)心が穏やかになり幸せを感じられる
親に対して怒っていたり恨んでいるときは、心がとても重く苦しいと思います。修復するとその気持ちが無くなり、心が穏やかになります。親子で過ごす時間が楽しいものになり、幸せを感じられるでしょう。
(2)他の人間関係も良くなっていく
その人の何気なく使っている言動や思い込みのパターンは、親との関係性の中でできたものが多くあります。親との関係を修復することで、言動や思い込みのパターンも変わります。
そのパターンは人間関係全般に同じような形であらわれますから、親との関係を修復することで、職場の人たちとの関係、恋愛関係、夫婦関係、自分の子どもとの関係、近隣との関係等々のうまくいっていないところも改善されていきます。
(3)やりたいことにエネルギーを使えるようになる
勇気ややる気が出ないと、私たちはエネルギーの使い方がネガティブな方向へ向きがちです。そうしたエネルギーが溜まって問題や悩みとなっていきます。
親との関係を修復することで、今まで親との関係に向いていた嫌悪感や恨みなどのネガティブなエネルギーがポジティブなエネルギーとなり、本来やりたいことやなりたい自分のために使えるようになっていきます。
デメリットはあるのか
修復することのデメリットは一つだけですがあります。
そのデメリットとは親のせいにできなくなることです。
今までは「親のせいでこんな自分になったんだ」「親から愛されなかったから人を愛せないんだ」等と、親のせいに出来たことが出来なくなってしまうのです。
多くの人は、自分がやらなければならないことや進むべき道を何となくわかっているものです。分かっていてもやるとなると難しいと感じ、逃げたくなるのが人間なのではないでしょうか。
無意識ではありますが、親を責めることは良い逃げ道となっていたのです。
修復が成功しやすい条件
修復がうまくいきやすい条件というのがありますので、お話しておきます。該当しないからと修復をあきらめる必要はありませんが、この条件に合えば修復がスムーズに進みやすいと言えます。
(1)素直になることができる人
人には様々な性格がありますので、素直な人もそうでない人もいます。どれが良い悪いということではなく、性格はその人の個性ですから持っている性格で構わないのです。
しかし、修復を行うときには素直な気持ちを少し多めに持つようにして臨むと、心が拒否反応を起こさず、感情が自然に出やすくなります。そして、親への思い込みや勘違いにも気付きやすくなるため、修復が進みます。
(2)30代以上であること
10代~20代は子どもと大人の中間地点にあたり青年期とも呼ばれています。この時期は自分自身の心や体、社会とのつながり等を創っていく、迷い悩みながら成長していく時期です。人により成長は違いますので一概には言えませんが、30代になると心や体の成長が少し落ち着き、ものの見方、考え方が広くなります。
親との関係の修復とは関係性を見つめ直すことですから、自分を確立していくための迷いや悩みがある20代までは、親との関係を客観的に見つめるのはなかなか難しいと言えます。
ただ、成長には個人差がありますので、絶対できないということではありません。例えば次のような「子どもがいる」方の場合には修復しやすいと思います。
(3)子どもがいる
子どもがいるとなぜ修復しやすいかというと、自分が親の立場も経験しているため、親の気持ちや考え、行動等がイメージできるからです。子どもを育てるということは自分も成長している訳です。ですから、親の立場からの発想もしやすくなりますし、考える力も増しているため、修復するときに役立つのです。
関係修復の方法
では、関係修復のための方法を順に説明していきたいと思います。
(1)親との関係性が悪い|元にある考えをみつける
親を嫌ったり恨んだりするときには、感情や行動の元になる考えがあるものです。
先ずはその考えを探してすべて書き出してみます。子どもの頃を思い出して書いてみてください。
例を下に書いておきました。他にもあると思います。
- いつも親から冷たくされた
- 他のきょうだいと差別された
- 親から見捨てられた
- 他の家の親のように面倒をみてくれなかった
- 支配された
- 怒られた
- 叩かれた
- 厳しくされた
(2)感情や親に言いたかったことを口に出して発散する
元にある考えがわかったら、感情や考えていたことを発散します。
感情や言いたかったことを発散することの目的は、子どもの頃に感情を出せなかったり、言いたかったことを言えず心の奥に固まってしまったネガティブな思いの塊を溶かすためです。この塊があなたの心を苦しめています。また、親との関係を修復する邪魔もします。
やり方ですが、
子どもの頃に感じた辛さや悲しさ、親に言いたかった事を子どもの頃に戻って全部口に出してください。(1)で書き出した、元にある考えも必ず口に出しましょう。
心がスッキリして、もう言わなくてもよいと思えるまで口に出してくださいね。感情的になってもかまいません。涙が出たら泣きながら、怒りが出たら怒りながら言います。同じことを何度も繰り返し言うことも効果があります。
心の奥に溜まったものを発散することは、心を楽にし修復しやすくしてくれますから、適当にすませずしっかりやってください。
(3)自分の心を癒す
自分の子どもの頃の思いをすべて吐き出せたら、傷ついていた子どもの自分を癒してあげます。ここも本当に重要なポイントですので、子どもの自分がニッコリするまで続けてください。
癒し方ですが、
目を閉じて子どもの自分をイメージし、その子に向かって下記のような事を伝えたり言ったりするとうまくいくでしょう。
- 苦しかったことや言えなかったことを、ちゃんと口に出せたことを褒める
- 「辛かったね」「悲しかったね」等と子どもの頃の自分の気持ちに共感する
- 辛さに耐えてきた事や悲しくても我慢してきた事等を褒める
- 「偉かったね」「頑張ったね」等と褒めながら、頭をなでたり抱きしめてあげる
- (落ち着いて来たら)子どもの自分が好きな事を一緒にして楽しむ
(4)大人の自分から子どもの自分に|真実と新しいやり方を教える
大人の自分からみたら、子どもが親に抱いていた否定的な考えは良く分かる反面、「そこは違うよね」と気が付くところもあると思います。
子どもだった時には気が付かなかった、見えなかった親の考えや気持ちを理解できるほどにあなたは成長しています。
大人になった自分が気付いた親の考えや気持ち、子どもの自分が勘違いしているところなどがあると思いますので、子どもの自分に教えてあげましょう。
子どもがわかってくれたら、親との新たな対応の仕方、接し方を教えてあげます。子どもの自分が納得できるような提案をすると、そのやり方を受け入れてもらえるでしょう。
ここで注意していただきたいのは、「親を許す」という考え方です。許すというのは、相手が悪いという意味合いが含まれます。「相手が悪い、自分は悪くない」という解決の仕方では、心の平安は手に入れられません。
酷い親を許すのではなく、「親には愛があった」ことを探してみてください。親は子どもに弁解や説明をしませんが、子どもへの愛が必ずあります。大人になった、親になったあなたならそれを必ず見つけられるはずです。
(5)新しいやり方で親に対応してみる
親への新しい対応の仕方、接し方がわかったと思いますので、そのやり方で親に接してみましょう。修復がうまくいっていれば、親への反発が減り、親を否定する気持ちも少なくなっているはずです。
あなたが変化した分だけ、親も同じように変化していきます。
まとめ
親との関係を修復するには、子どもの頃の自分と向き合うのがコツです。この方法はかなり効果的ですので、ぜひ試してみてくださいね。
難しくてうまくできない方や、プロに任せたほうが楽だと思われる方はカウンセリングをご予約ください。
私のカウンセリングは、「優しい雰囲気で、わかりやすく説明してもらえる」とよく言われます。ただ、必要なことはしっかりお話させていただいていますが、全体的には優しい雰囲気のようです。どうぞお気軽にご相談ください。