こんにちは。安藤はま子です。
親子は関係が近いだけにうまくいかないことがよくありますが、関係を改善して親子共に幸福になり成長していくことは十分可能です。
私はこれまで4000件以上の相談を受けてまいりましたが、親子関係の相談がもっとも多く、親子関係が改善された方は次のステージへと進んでいらっしゃるようで、とても嬉しいです。
本記事では親子関係の悩みとその対処法について書きますので、参考にしていただければ幸いです。
親子関係で起こりやすい悩み
親子関係の悩みには実に様々なものがありますが、よくありがちな親の悩みを大まかに分けると次のようなものがあります。それぞれについて簡単に説明しておきます。
- 子どもとコミュニケーションがとれない
- 子どもの考えていることが分からない
- 子どもの反抗
- 子どもへのイライラや怒りの感情に悩む
- 成人した子どもの金銭問題
- 子どもの結婚問題
- 大人になってからも続く親への怒り
- 親と会いたくない
子どもとコミュニケーションがとれない
小さい子どもでも成人した子どもともですが、よくある悩みとしてコミュニケーションがとれないという悩みがあります。
たとえば、子どもにどのように話しかけたらいいか分からない、子どもに話しかけても返事をしてもらえない等です。親は子どもとのコミュニケーションの取り方が分からなかったり、コミュニケーションをとることに自信がないなどの理由があるようです。
子どもの考えていることが分からない
これは思春期以降の子どもに対して親が持ちやすい悩みです。思春期の頃から子どもは親に対して秘密をもったり、話したくないことも多くなります。また、親に対して嫌悪感や怒り等があると親と話をしなくなります。
そうしたことで親は子どもが何を考えているのか分からず、親子関係に不安や心配が生じ、関係改善をどのようにすればいいのか分からなくなってしまいます。
子どもの反抗
子どもの反抗期は2歳前後と小学校高学年から高校生の頃にあります。これは子どもが成長し自分の考えが出てきたからですが、親は聞き分けのない子どもの言動に戸惑い、悩みとなる場合が多いのです。
年齢に関係なく親子関係が悪いと反抗的な言動を続ける子どももいます。
子どもの反抗は親の弱みを突いたりすることが多く、親にとって大きな悩みとなりやすいのです。
子どもへのイライラや怒りの感情に悩む
子育て中の親も成人した子どもの親も、子どもに対して無性に腹が立ち、その感情に親自身が悩まされることもよくあります。
子どもは親とは別の人格を持っていますが、そのことを親が受け入れられないと親自身に葛藤が生まれ、イライラや怒りの感情となり、その感情を受け入れられず悩んでしまいます。
成人した子どもの金銭問題
子どもの金銭感覚がうまく育っていないために、大人になってから金銭問題が起こることが結構あります。
親は自分の育て方が悪かったのかもしれないと悩み、子どもへの対応にも苦慮します。
子どもの結婚問題
子どもが結婚しないことで悩む親は結構います。
両親の関係を見ていて結婚に希望が持てない、自由がなくなる、経済的に難しいなどの理由から結婚を避ける子どもがいます。
親は良かれと思い結婚を望みますが子どもには負担となることもあり親子関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。
大人になってからも続く親への怒り
親への怒りや恨みは、親子関係の悩みの中でも根の深い問題です。だからこそ、なかなか解消できないで引きずってしまい年をとっても解決できない人もたくさんいます。
親と会いたくない
大人になってからも親に会うのが苦痛で会いに行けないという人は、親に会うと言われたくないことを言われる、きょうだいや知り合いと比べられる等の理由があるようです。数十年会っていないという人も珍しくありません。
このような親子関係の悩みが発生するのには原因がありますので、次の章でご紹介したいと思います。
親子関係がうまくいかない原因
親子関係がうまくいかない原因にはどんなことがあるのでしょうか。よくある原因についてまとめてみました。
- 親が自分の心を素直に表現できていない
- 期待とプレッシャーが大きい
- 過干渉と放任
- 思春期の問題
- 家庭内の不和や経済問題
- 親自身の悩みや未解決のトラウマ
親が自分の心を素直に表現できていない
子どもに理解してほしい、子どもの考えていることを知りたいと思いながら、あなたも自分の考えを素直に子どもに対して表現できていないとしたら、子どもから見ても親は「何を考えているのか分からない」と思っているかもしれません。
子どもは自分の鏡ですから、あなたが子どもに対して分かりやすい言動をしなければ、子どももあなたに対して分かりやすい言動をしてくれません。
これでは、お互いに考えていることが分からない、何を話せばいいのか分からないということになってしまいます。
期待とプレッシャーが大きい
多くの親は子どもに「良い学校に入ってほしい」、「良い職業についてほしい」「良い人と結婚してほしい」等の期待を持っていますが、その期待が大き過ぎると子どもはプレッシャーに感じるようになり、親子関係がうまくいかなくなります。
過干渉と放任
親子関係がうまくいかなくなる原因として過干渉と放任もあげられます。
親が子どもを心配するあまり先走って子どもを守る、干渉することが日常になっていると、子どもは依存的になるかまたは反抗的になります。その結果、自分で判断・行動することがうまくできなかったり、上の人から言われることに反発してしまい、学校、職場、家庭などで不適応さをを感じるようになります。
放任は親が子どものことを放っておき関心を持たないため、子どもは親に大事にされていない気持ちになり社会で生きづらさを感じやすくなります。
どちらの場合でも、子どもは「親のせいでこうなった」と問題の矛先を親に向けるようになることが多いのです。親はどう対処すればいいのか分からず四苦八苦してしまいます。
思春期の問題
思春期は子どもから大人になる境目の時期ですが、この時期は反抗期も重なり親にとっては子どもとの付き合い方が難しくなり、親子関係がうまくいかなくなる大きな原因となります。
親からはまだまだ子どもに見えるのですが、子どもは「もう大人だ」と思っているため自分の考えを強く主張しますからぶつかることも多くなります。親は不安や心配から子どもを抑えるため余計に子どもは反抗し、親子関係は最悪になることもあります。
家庭内の不和や経済問題
夫婦関係や同居している親との関係が悪いと、その中に暮らす子どもは人間関係に安心感をもてず、外でストレスを発散したり、引きこもって親とぶつかるなどの問題となる場合があります。
また、経済的な問題で家族がぎくしゃくしたり、子どもが心配をするような状況にあると親子関係もうまくいかなくなりがちです。
このように家庭内の問題は親子関係にとても影響します。
そうした内容については以下の記事でも書きましたので、もしよろしければお読みください。
親自身の悩みや未解決のトラウマ
親子関係の悩みの原因として、親自身とその親との親子関係の悩みやそこで生じたトラウマの解決ができていないため、自分の子どもとの関係でも同じ悩みが生じるということがあります。
なぜなら、人は鏡ですからあなたの親はあなたであり、あなたの子どももあなただからです。あなたは抑圧されている子どもの部分がありながら、抑圧している親の部分も持っているということなのです。
たとえば、あなたが親に抑圧されて育ち人生を親の言う通りに生きてきたことで親を恨み、子どもを育てている現在でも自分の親との関係を解決できていないとします。すると、あなたの子どももあなたに抑圧されていると感じ、あなたのことを非難してくるため親子関係がうまくいかないという現実が生じます。この場合、あなたは自分の親との親子関係と自分の子どもとの親子関係両方がうまくいっていないということになります。
親子関係から生じるトラウマについては以下の記事も参考になるかと思いますので、よろしければお読みください。
親子関係がうまくいかないことで悩んでいるときは、悪い方にしか目を向けられないかもしれませんよね。このような時でも、物事の別の面、メリットを考えて見ることができれば、あなたの悩みもかなり方向が変わっていくかもしれません。
親子関係がうまくいかないことのメリットとは?
親子関係の悩みで苦しんでいる時こそ、あなたはそのメリット面を考えてみることが重要です。なぜなら、そこにはあなたの人生をより良くするあなたの潜在意識からのメッセージが隠されているからです。
一般的なメリットには以下のようなものがあります。あなた自身はもう少し違うことを考えるかもしれません。あなたが感じたメリットがより重要です。
- 親子の関係を考え直すきっかけとなる
- 自分自身の考え方や生き方について考えるきっかけとなる
- 親子共に成長の一助となる
メリット面が分かれば、現在のあなたの親子関係の悩みには意味があり、その悩みが素晴らしい親子の成長や親子の幸せにつながっていく可能性がある事に気付くのではないでしょうか。
現在、親子関係の悩みがあるのでしたら、ぜひ自分自身の心と向き合ってみてください。悩みを改善するために役立つはずです。
親子関係の悩みを改善する方法
親子関係の悩みを改善する方法についてはいろいろありますが、ここで提案する改善法は親が自分自身に気が付くものを中心にしました。
なぜなら、親子関係の悩みを改善するためのカギは常に自分が持っているからです。
- 課題の分離をする
- 子どもへの期待やプレッシャーの元は何かを考えてみる
- 子どもへの過干渉や放任の理由を考えてみる
- 思春期の子どもについては学ぶことも大切
- 家庭環境を改善する
- 専門家の助けを借りて自分自身の心理的問題を解決する
では、それぞれについて説明します。
課題の分離をする
私が心理学を学び始めたのは心理学者アルフレッド・アドラーが提唱した「アドラー心理学」が最初でした。アドラー心理学の中でも対人関係の悩みに対応できる考え方として「課題の分離」があります。この考え方は、親子関係の悩みにもとても役立ちますのでご紹介します。
「課題の分離」とは自分の課題と他者の課題を分けることです。そして、その課題にお互い立ち入らないようにすることで、問題がシンプルになり悩みとならなくなるという考え方です。
たとえば、これまでは朝、時間通りに学校へ行っていたのに中学校2年生くらいから学校へ遅刻をしていくようになったので、親は口うるさく「遅刻しないように学校へいきなさい!」という毎日ですが、子どもは親の言うことを無視しています。親はイライラや怒りが日々ひどくなっています。親子関係はもちろん悪化しています。
こうした問題があるときに、「遅刻して最終的に困るのは誰か?」、遅刻の問題は誰の課題かを考え、課題に取り組み責任を負うべき人をはっきりさせます。そして、誰の問題か分かったら本人に任せ口出しをしないということです。
この場合ですと、学校へ行くのは子どもの課題で、遅刻をしていて先生に注意されたり、時間通りに行動しないことで勉強に遅れをとる、大事な話を聞き逃すなどは子どもです。ですから、遅刻は子どもの課題です。
子どもの課題に親が介入すると問題が複雑になったり、親が責任を負うようなことになり親子関係はますます悪化してしまいます。親は覚悟を決めて、遅刻の問題を子どもに任せていくことが大切です。
もちろん、子どもと話し合うことができるのでしたら、どうしていけばいいのか一緒に考えることもできます。しかし、子どもが話し合いに応じないときには、親が覚悟を決めて子どもの行動を見守るようにします。
子どもへの期待やプレッシャーの元は何かを考えてみる
「子どもに過度な期待やプレッシャーをなぜ持ってしまうのか?」
このように自分に問いかけてみることは親子関係の悩みを改善することにつながります。
親は子どものためと言いながら、その裏には親の虚栄心や欲などが隠れています。そうしたことに気付かないと、過度な期待やプレッシャーを止めることができないのです。
たとえば、「子どもがスポーツ選手として活躍して賞賛されたら、周りから自分も賞賛される」、「自分は医者になりたかったけれどなれなかったから子どもにはどうしても医者になってほしい」等、子どもはそうした親の裏の心理を感じとるため、不快になり反抗したりします。
自分に問いかけてみることで、ほんとうに子どものためなのか、実は自分のためなのかが分かってきます。
気付くことが変化につながっていきますので、自分に質問をして自分の内面をよく見て、これからどうしたらいいのか考えてみると期待やプレッシャーの量も変化していくでしょう。
子どもへの過干渉や放任の理由を考えてみる
言ってはいけないと思いながら子どもについ干渉してしまう。忙しさにかまけて子ども関心を持たず放任してきてしまった。こうしたことから親子関係がうまくいっていないのでしたら、
「なぜ干渉してしまうのだろう?」
「なぜ放任してきてしまったのだろう?」
と、その理由を自分に尋ねてみてください。
過干渉の裏には、子どもを信頼できない自分や子ども以外に生き甲斐がないなどの答えが見つかるかもしれません。
放任の裏には、子どもとどう接すればいいのか、子育てや躾をどうすればいいのか分からないため逃げてしまっていた自分が見えてくるかもしれません。
このように、自分自身への質問は非常に重要ことに気付かせてくれることがありますので、静かなところで一人になり時間を取ってよく心の中を見てみることをおすすめします。
思春期の子どもについては学ぶことも大切
思春期は子どもの対応に困ることがたくさん出てきます。そうした中で、親の考えを一方的に押し付けても親子関係は良くならず、逆に悪くなることも。
思春期とはある意味、子育ての中でも特殊な時期です。親は子どもとどう接すればいいのか分からなくなったときに、この時期の子どもの特徴や付き合い方を学ぶことも親子関係の改善に役立ちます。
子どもに対してただ感情的になったり不安をもったりするだけではなく、本やネット記事、YouTube、セミナー等情報はたくさんありますから、そうした情報を読む、聞く等してみましょう。
私は以前、「思春期の子どもとの付き合い方セミナー」をしてほしいと頼まれて行いましたが、参加者の皆さんにとても喜ばれました。
「セミナーに参加したことで他にも悩んでいる方がいるとわかり、気持ちが楽になりました。」「思春期のことに付いて知ることができて、少し気持ちが落ち着きました。」「子どものことばかり考えていましたが、これからは自分のやりたいこともやろうと思いました。」等の声があり、情報の大切さを感じました。
情報を得ることで、視野が広がり、新たな接し方や自分自身の生き方を考えられるようになるかもしれません。
家庭環境を改善する
家庭環境の問題から親子関係がうまくいっていない場合には、夫婦関係や経済的な問題を改善することで親子関係の悩みも改善していきます。
夫婦関係については、今後夫婦関係を改善する気持ちがあるのか、別居や離婚も考えるのか等方向性をはっきりさせていくようにします。カウンセリングや法律相談などが必要であれば、そういった所も積極的に利用して、現状を変化させていくようにしましょう。
経済的な問題では、月々の出費を見直す、不要な物は処分する、収入を増やすことを考える、借金があるならどのように返済していくのか他の選択肢も考える。経済的な問題も夫婦関係と同じように改善に向けて動き出すことが大切です。
家庭環境を少しずつでも変化改善させることで、親子関係も改善していきます。
専門家の助けを借りて自分自身の心理的問題を解決する
親子関係の悩みを改善するのに最適な方法は、専門家の助けを借りて自分自身の心理的問題を解決することです。
なぜなら、現在の親子関係の悩みの元はあなたとあなたの親との関係に原因があるからです。かなり深い意識を見ていかなければならないため、専門家の助けを借りた方が早くに解決できるというわけです。
私の元にも親子関係カウンセリングを受けられ親子関係が良好になった方々がいらっしゃいますが、「もっと早く相談すれば良かった」とおっしゃる方が多く、長く悩まれていたことがうかがえます。
親子関係がうまくいっていない場合の対処法については以下の記事も参考になると思います。ぜひご覧ください。
親子関係の悩みは一人で抱えこまず誰かに相談しよう
親子関係の悩みを一人で抱えているのは辛い事でしょうし、他の家族関係にも影響がでます。しかし、いきなりカウンセリングを受けることはできない場合もあるかと思います。
悩みは誰かに話を聞いてもらうだけでも楽になることがあります。特に小さい子どもを育てているのでしたら相談できる人や場所がないと、精神的に落ち込んでしまったり、病気になったりしかねません。
一人で抱えこまず、以下を参考にしてぜひ誰かに相談してみてくださいね。
- 親やきょうだい
- 周囲の頼れる人や経験者
- 公的機関
- 民間のカウンセリングやセラピー
親やきょうだい
親子関係がうまくいっていなくても、父親、母親のどちらかと気が合って話ができる場合。きょうだいの中で話がしやすい人。近い関係だからこそ相談しやすい場合もあります。
知り合いに、配偶者の母親に相談してそこから他の人も巻き込んで解決した人もいました。
周囲の頼れる人や経験者
周囲にも話を聞くのが上手な人や親子関係の悩みを経験した人等、家族がいる人ならほとんどは経験者ですから、話しやすそうな人がいたら声をかけてみてください。
カウンセラーになる前ですが私には相談しやすい雰囲気があったのか、ときどき周りの人から相談に近い話をされました。多くの方は、世間話から悩みの話になっていきます。そのような流れで、何気なく相談話を聞いてもらうといいかもしませんね。
公的機関
あなたの住んでいる地域には必ず、児童相談所や女性相談所などがあり、電話相談や面談などの相談ができます。
学校にもカウンセラーがいて、保護者の相談にものってくれます。
公的機関は無料で何回でも相談できますので、連絡先を調べて相談してみてください。
私は女性相談室と学校で相談を受けていたことがありますが、とくに女性相談室には親子関係の相談がたくさんありました。学校では保護者の方からの相談は少なめでしたが、保護者が見えたときは親子関係の相談がほとんどでした。
民間のカウンセリングやセラピー
いろいろな人に相談しても、どうもあまり改善しないという場合には民間の有料カウンセリングやセラピーを受けてみてください。
インナーチャイルドや潜在意識を扱うカウンセラーやセラピストならより改善しやすいかと思います。
最後に
今回は親子関係の悩みについてお伝えしました。いかがでしたでしょうか?
親子関係の悩みを改善することは、あなたのベースとなる部分を変えることにもなりますので、非常に大きな変化へとつながります。
親子関係の悩みはあなたやあなたの子どもの人生を変えるチャンスでもあります。大変でも、あなた自身に向き合い、より良い親子関係、より良い人生を手にしてください。
私のところではインナーチャイルド療法を取り入れた親子関係カウンセリングを行っておりますので、お気軽にご相談ください。