子どもを育てていると、子どもの成長に問題があったり、子どもが問題を起こしたりと親にとっては辛いことが時々あるものです。
そんなときには「私の育て方が悪かったのだろうか?」と思い悩むことがあるかもしれません。
子育ては楽しいことや幸せを感じる場面も多いのですが、育て方を後悔してしまう場面が誰にでもあります。
そうしたときに親はどうすれば子どもや自分の状況を変えていけるのでしょうか?
子育てに後悔はつきもの
子育ては理想通りにはいかないものです。どこの親も自分なりに頑張って子育てをしていると思いますが、その結果は良いことばかりではありません。ある意味、子育てには後悔がつきものだということです。どんな親も完璧な子育てはできません。良かれと思ってしてきたこと、自分の怠惰な気持ちからしてきてしまったことなど、どの親にもうまくできなかったことが必ずあるものです。ですから、子育て中、子育て後にどんな問題が発生してもあまり自分を責めないでいただきたいと思います。
何か子どもに問題が生じたときには、できることもたくさんありますので、後悔の気持ちを持ちながらでも、その状況を変えていってほしいと思います。後悔したときにその気持ちとどう向き合えばいいのか、その時の気持ちの切り替え方などもご紹介します。
まずは子育て中、子育て後にみなさんがどんな後悔をしているのか見ていきましょう。
子育てでこんな後悔していませんか?
私がご相談を受けたり、いろいろな場面で話をおききしたとき、多くの親は次のようなことで後悔を感じていることがわかりました。あなたに当てはまるかどうかは分かりませんが、多くきかれたのは下記のような後悔でした。
- 甘やかし過ぎた
- もっと勉強をさせておけばよかった
- 怒ってばかりいた
- 夫婦仲が悪かった
- 子どもともっと関わっておけばよかった
- もっと躾をすればよかった
- 動画やゲームを制限すればよかった
- もっと体験・挑戦をさせておけばよかった
- 子どもの気持ちをわかってあげられなかった
各々について説明していきたいと思います。
甘やかし過ぎた
子どもが臆病だったり乱暴になったり、いうことを聞かない、みんなができることができなかった等のときに親は、「子どもを甘やかし過ぎたのかも…」と思います。
甘やかされている子どもは自由気ままで快適な状態に楽しい毎日です。しかし、保育園、幼稚園、学校、そして社会へ出て行くようになるどこかの段階で何かと周りが違うと思うようになります。それは、みんなの中にうまく入れない、我慢ができない、みんなができることができないなどで、集団で行動する場面になると特に感じるようになります。
もっと勉強をさせておけばよかった
学校から帰ったら好きに遊ばせ自由を満喫させてあげよう。いつか自分で勉強するようになるだろうからそれまでは子どもの自主性に任せよう。家では子どもは元気に遊ばせて体をつくったほうがよい等々。このような考えで子どもに勉強をさせないできた結果、子どもの成績が非常に悪かった。または授業についていけないなどということになったとき親の中に「もっと勉強をさせておけばよかった」と後悔が生まれます。
自分から勉強をする子は案外少ないものです。塾に通ったり自分で勉強していく子と何もしないでいる子の差はどんどん開いていってしまいます。気が付いたときには、授業に追い付いていけず授業時間が辛くなっているということはよくあります。
勉強しなくてもおおらかに元気に育ってくれればいいと信念を持っていても、子どもが授業についていけず落ちこぼれている状況を知ると、自分の落ち度のように感じてしまうのが親です。
怒ってばかりいた
親は子育て中に何度も子どもを怒ってしまうものです。育児書やネット情報などで「怒ってはいけない、𠮟りなさい」などと書いてあるのをみると、感情的に怒る自分はダメでひどい親だと思ってしまいます。
確かに怒られ続けると、子どもはのびのびと自分の意見を言ったり、感情を出すことができなくなります。委縮してしまう、怒りやすくなるなどということもあります。中には、怒られることに慣れて人の話を聞かなくなったりする子どももいます。
こうした兆候がある、学校や知り合いから子どもの様子を指摘された場合などに親はショックを受け、怒ってばかりいた自分の子育てを後悔するものです。子どもも親も辛い状況ですよね。
夫婦仲が悪かった
夫婦仲が悪いと子どもに様々な弊害があることは以前書きました。詳しくは「両親の不仲がもたらす子供への悪影響とその対処法」をお読みください。
子どもに夫婦仲が悪いことを見せたい親はいませんが、夫婦関係が悪いことは子どもに伝わってしまうものです。夫婦の関係を何とかしなければと思いつつその関係を改善できないまま子育てしてしまうこともよくあることです。夫婦が争っている間に月日が流れて、気が付いた時には子どもが親に反発する、ひきこもる、外で問題を起こしたりして問題が表面化します。親はそうしたときに「夫婦が仲良くして、子どもを育てられたらよかったのに」と後悔します。
子どもともっと関わっておけばよかった
特に子育てと仕事を両立している親に多い後悔だと思います。働いていると時間にいつも追われていて、つい自分の仕事を優先してしうこともあるでしょう。子どもと遊ぶ、話す、出かけるなど一緒に体験することができなかったことで、子どもがどんなことに楽しみをもっているかどんなことに興味があるかなどわからないことも。
共有する思い出があまりなく、子どもとの関係が希薄なまま子どもが成長してしまうと、親は子どもともっと関わっておけばよかったと後悔するものです。
もっと躾をすればよかった
部屋の片づけができずいつも部屋が散らかっている、食べ方が汚い、箸の持ち方がおかしいなど子どもに気になることがあると、躾をきちんとできなかったことを後悔する話もよく聞きます。
親は口うるさくすると子どもとぶつかるので、躾がうまくできないまま子どもが大きくなってしまうこともよくあることです。躾は根気が必要ですし一時的に子どもから嫌われることもあるため、苦手で避けてしまう親もいます。子育ては本当にやることが多いですから、わからなくもないのですが、大人になってから親が子どもの癖を直すのはさらに難しいためそこでまた葛藤が生まれます。
動画やゲームを制限すればよかった
現代の子どもたちは生まれた時から身近に動画やゲームがある環境です。そして、子どもたちは教えなくても刺激のある画面を食い入るように見て楽しみます。そうした様子を見て、親は忙しいときもそうでないときもつい子どもに動画、ゲームなどを制限なく見せてしまいがちです。静かにしてくれるので、親からしたらとても助かり楽なのです。
しかし、子どもが動画やゲームに一日中はまり何もしないことに。便利だからと子守代わりに制限なく動画やゲームを見せてしまったことに後悔する親は本当に多くなっています。
体験・挑戦をさせておけばよかった
子どもが進学、就職するころになると子どもの知識や経験が少なく、進学できる学校が限られたり、就職できる会社があまりなかったりしたときに、親はもっと幅広くいろいろ体験させればよかった、子どもの興味だけでなく親がもっと挑戦する道を示してあげればよかったなどと考えます。
このようなときに親は自分の至らなさを感じて、後悔の念が強くなります。
親はどうしても子どもの友人や有名人などと自分の子どもを比べてしまうものなので、こうした後悔も出やすくなります。
子どもの気持ちをわかってあげられなかった
生真面目にやってきた子、不登校や暴力等々の問題が起きた子どもから「気持ちをわかってもらったことがない」などと言われることがあるでしょう。また、大人になってから「子どもの時からずっと寂しかった」と言われたりすることもあるものです。そうしたときに親は後悔の気持ちが強く湧きます。
今さら過去には戻れませんし、親として辛いことですよね。
後悔したときの自分への対処法
誰にでも後悔はあるもの
親が子育てに後悔することは、本当にいろいろあることがお分かりいただけたと思います。親であれば後悔は誰にでもあることを知っておいてください。後悔の内容は人それぞれですが、ほとんどの親は後悔することがあるものです。
「自分だけではない」「みんなそうなんだ」と思えることで少し心を安心させてください。
責任をもって育てているから後悔も生まれる
後悔とは子育てに責任をもっているからこそ生まれる感情です。あなたはここまで自分でできる範囲で頑張って子育てしてきているでしょうし、今現在も子どものことに親として責任を持とうとしています。後悔とは親の愛なのだと思います。それが正しいとか間違っているということではなく、親というものは子どものことを自分のことのように感じてしまうものなのではないでしょうか。ぜひ、頑張って子育てしてきた自分をほめてあげてください。
また、後悔するようなことがあったとしても、それで子どもの人生に責任を感じる必要はありません。なぜなら、大人になった子どもの人生の責任は子どもにあるからです。子どもの人生は親だけがつくってきたものではなく、子どもも一緒につくってきたものだからです。
後悔したときこそ自分を変えるチャンス
ピンチはチャンスといいます。子育てに後悔の気持ちが湧いているなら、自分の行動や考え方を変えるいいチャンスです。過去を変えるのは大変ですが、今の自分を変えていくことはできます。それが子どものためにもなっていくのですから、変わらないのはもったいないと思います。
甘やかし過ぎた自分に気が付いたなら、なんで甘やかし過ぎたのか自分の内側を見てみることをお勧めします。
親はいろいろな思いから子どもを甘やかしてしまいます。下記の例は親がほとんど意識していないレベルの意識です。
- 子どもの見た目やしぐさが可愛いから
- 大人になったら厳しい世界がまっているのに厳しくするのは可哀想だから
- 注意するのが面倒だから
- 注意すると子どもから嫌われるから
- 他のきょうだいを怒って育てたので優しくしなければと思い
- 自分の寂しさを紛らわすため等
甘やかし過ぎた理由がわかれば、自分を変えていくことができます。
怒りすぎた自分、勉強させなかった自分、体験・挑戦をさせてこなかった自分、子どもを育てながら自分も育つ良いチャンスなのです。自分が成長することで子どもも成長していくことができます。なぜなら、親と子どもはお互いに鏡になっているからです。親が成長すれば子どもも成長して映ります。子どもが成長すれば親が成長して映ります。
子育てを後悔したからと子どもを変えなければと思うよりも、自分を変えるほうが早いですのでまずは自分を変えてみてはいかがでしょうか。
後悔しない秘訣は?
子育てで後悔しないようにするのは前述してきたように無理な話なのです。どんなに良いといわれている子育てをしても、子どもの長い人生の中ではどこかで問題が起こります。そうしたときにまったく後悔をしない親はいないでしょう。
後悔しない秘訣があるとすれば下記の2点をあげたいと思います。
その時その時自分なりに一生懸命やってきたと思うようにすること
今からでも変えられるところは変えていこうと前向きに考えること
子育てには答えがありません。子どもと共に自分も育っていくつもりで試行錯誤していくことで何か良い結果につながっていくのではないでしょうか。
うまくいかないところや自分の感情のコントロールが難しい方は、カウンセリングをご利用ください。